5月5日は「こどもの日」として定められ国民の祝日の一つ。端午の節句と呼ばれる5月5日に男の子が家の後継ぎとして無事に成長してくれることを祈り一族の繁栄を願う行事となったのは江戸時代に入ってからのこと。鎧や兜を飾るのは武家社会から生まれた風習だ。当時は身の安全を願い神社に参拝するときに、兜や鎧を奉納していたという。
時代は流れても“健康に育ってほしい”という子どもに向ける愛情は変わらず、「身を守る」ものという意味から端午の節句には兜や鎧を飾る風習は受け継がれている。
江戸時代に武士が駆っていた馬。その馬に代わる現在の乗り物といえば“鉄馬”と呼ばれるバイクだ。
それならば、端午の節句で飾られる馬に股がっている「大将飾り」と「バイク」がコラボしてもいいのでは? そんな発想から誕生したのが愛知県名古屋市の人形商店「末正商店 人形のすえまさ」がプロデュースした『バイク乗り大将』だ。
オリジナルサイズの『バイク乗り大将(大)』。テレビに登場したのもこのサイズだ。じつは、実物大のバイクの置物もあったが、それはベースとなるバイク単体で180万円もするとあり「これなら実物のバイクが購入できるから、現実的じゃないな……」と制作を見送ったそうだ。
『バイク乗り大将』をプロデュースした末正商店の代表、武田さんに誕生秘話を語ってもらった。
「バイク乗り大将が誕生したのは偶然だったんです。東京で行なわれていた国際見本市に足を運んだ時に、バイクの置物が展示されていたんです。その時は五月人形に跨らせようとは考えてなく、バイクの造形が好きで購入したんです。
こう話すとバイク乗りかな?と思われるかもしれないですが、二輪免許は持っていません(笑)。ただ、バイクはもちろんクルマ、働く自動車、飛行機など動くものが好きなんですよ」
ほぼ衝動的に購入したというバイクの置物。それを前にしてふと「これに五月人形を跨らせたら面白いんじゃないか?」と思いつき、五月人形を作成している工房にオーダーしたのだ。
「“大将飾り”がベースにあるから、馬をバイクの変えれば簡単にできるんじゃないか? と思いますよね。実際にはかなり大変なことだったんです。ベースとして使えたのは人形の顔と胴体の芯ぐらいで、その他の部分は新たに作りました。馬に跨っている姿勢と、バイクにまたがっている姿勢は全然違うんですよね。手も手綱ではなく、ハンドルを握っていまますし。
それに、バイクの置物は一台一台の形が微妙に違うんです。だから、人形を一体作ってそれを複製していけばいいわけじゃないんです。
バイクにあった人形を微調整して作るから、工房からは『もう勘弁してほしい……』と泣きが入りました」
こうして誕生した『バイク乗り大将』はそのインパクトから、テレビ番組「トリビアの泉」でも取り上げられたほど。
現在でも店舗に飾られている『バイク乗り大将』。販売は可能だが、「ロット数が揃わないとオーダーできないんですよ。購入したい場合は
、お問い合わせください」と武田さんは言う。
将来、子どもをバイク乗りにしたいと思っているなら、五月人形として『バイク乗り大将』を候補に挙げてみてはいかがだろうか。
また、人目を惹くことから、バイクショップのディスプレイとしても最適だ。
【取材協力】
●末正商店 人形のすえまさ
愛知県名古屋市名東区香流1-1501
TEL:052-773-4811
https://www.suemasa.jp/
●人形の月志
静岡市葵区羽鳥2-21-16
TEL:054-278-9777
http://www.ningyo-tsukiji.co.jp/